累計900 以上のブルワリーが並び立ついまも、クラフトビールの国内シェアはわずか1.7%。その壁を打ち破ろうと奮闘するのが「よなよなエール」で知られるヤッホーブルーイングです。30 周年を迎えた同社が製造チームへの独占インタビューで明かしたのは、“おいしさ・驚き・手に取りやすさ”を三本柱にしたビールづくりの哲学と、価格を200円台に保ちながら全国流通を実現する舞台裏でした。
ヤッホーブルーイングが語る“日本に新たなビール文化”

ミッションは「ビールに味を!人生に幸せを!」
ヤッホーブルーイングは1997年創業以来、“味わい豊かなビールで日常に小さな幸せを届ける”ことを掲げてきました。創業者が米国パブで体験した1杯のエールに衝撃を受けたことが、今のブランドの原点です。
クラフトビール文化を広げる「3つのこだわり」
同社が大切にする要素は
- おいしいビールをつくる
- “クラフトビールって面白い!”と思わせる驚きを与える
- 全国どこでも手に取れる価格と流通
という三本柱。品質・楽しさ・入手性のすべてが揃ってこそ文化は根付く、と語ります。
製造の最前線――3人のキーパーソン
- 森田正文(もーりー):全製品の香味を統括する製造責任者。国際品評会の審査員経験を活かし、バランスの取れた味わいを追求。
- 川並かおる(るんるん):品質管理ユニットを立ち上げ、全国流通に耐える品質基準を構築。
- 荒井隼人(せるべぇ):充填工程の改善と新製品開発を担い、最新酵素技術を導入。
「バランス」を生む徹底したテイスティング文化
月5~6回の社内テイスティング会や国際品評会への継続出品を通じて、外部評価をフィードバック。官能検査と科学的分析を両輪に、オフフレーバーを排し“誰が飲んでもおいしい”と感じるビールを磨き上げています。
価格を抑えて全国へ――巨大設備と「引き算」の発想
創業時から業界最大級の醸造設備を導入しスケールメリットを確保。さらに「ホップ香を邪魔する要素を消して香りを際立たせる」など“足し算より引き算”の技術でコストを抑え、缶ビールを常温流通できる品質を維持しています。代表作「よなよなエール」が28年間200円台を守り続ける秘訣もここにあります。
それでも市場シェアは1.7%――挑戦は続く
国内ブルワリーが900 軒を超える一方、クラフトのシェアは依然1.7%(2023年度)。ヤッホーブルーイングは“手軽な価格×個性的な味”で裾野を広げ、クラフトビールを日常の選択肢にすることを目標に掲げています。
まとめ
ヤッホーブルーイングの取り組みは、クラフトビールの魅力を“知る人の趣味”から“日本の新しいビール文化”へと押し広げる挑戦そのもの。製造スタッフの情熱と技術が詰まった一杯を味わえば、あなたもきっとその未来に一票を投じたくなるはずです。