福島市のバーや居酒屋など飲食店の経営者らでつくるNPO法人「フクシマギフターズ」は、地域振興の新たな産品としてクラフトビールを開発した。爽やかな味わいが好評となっており、理事の瀬戸史弥さん(25)と鈴木幸治さん(49)は「フクシマギフターズがきっかけになり、福島の面白さを県内外に伝えたい」と思いを語る。
同NPOは、飲食店を営む有志10人が「コロナ禍で苦しいことが多いが、自分たちの手で元気を取り戻せるきっかけをつくろう」と設立準備を進めてきた。第1弾の企画は「やはりお酒からでしょう」とまとまり、吾妻山の雪うさぎをイメージしたクラフトビール「SNOW RABBIT(スノーラビット)IPA」を開発した。製品名には、長いコロナ禍の雪解けを願う思いが込められている。
米国産のかんきつ系ホップを使用しており、爽やかな香りとすっきりした味が特徴で、雪うさぎの白を想起させる白みがかかっている。桑折町の「半田銀山ブルワリー」に製造を委託した。
NPO法人として認められた10月を機に、メンバーの飲食店などで提供を開始した。生産した400本は、わずか10日ほどで完売した。現在は市内の飲食店17店舗で飲むことができるが、今月から追加生産した700本のほとんどが予約済みとなっている。
24日からは上面発酵で飲みやすさが特徴のクラフトビール「スノーラビットエール」の提供も始める。県内の農家と協力したホップの生産やクラフトビールのネット販売なども計画しており、幅広く事業を展開していく予定だ。
瀬戸さんは「福島の魅力を全国に広めて移住などにもつなげたい」、鈴木さんは「県内の農家らと協力して福島の生産物で商品を開発したい」と話した。スノーラビットの取り扱い店はフクシマギフターズの公式ホームページで確認できる。