新潟県佐渡市歌見集落の住民らが、地元産ホップを使ったビール造りを進めている。耕作放棄地の活用を探る中でホップを栽培するアイデアが浮かび、市内のビール醸造所と連携。昨秋に初収穫したホップの一部を使い、今月上旬にビールの仕込み作業を行った。完成したビールは地元の集会やイベントで活用し、今後、製造量を増やし商品化することも視野に入れている。
歌見集落は市北部に位置し、美しい棚田でも知られる。一方、近年目立つようになった耕作放棄地への対応が課題だった。
ビール造りを企画したのは、地元住民らでつくるグループ「UKUU」。交流のある新潟大佐渡自然共生科学センターの豊田光世准教授から数年前、比較的栽培が易しいホップを活用するアイデアが提案されたのがきっかけだった。昨年には佐渡産クラフトビールの醸造を目指す「トキブルワリー」の設立準備も市内で本格的に始まり、ブルワリーを運営する「ビアパイント」と連携してビール造りに取り組むことになった。
植えたホップの苗はおよそ50本で、約1キログラムを収穫した。そのうちの100グラムを使い、5日にトキブルワリー(佐渡市加茂歌代)で15リットルのビール造りに取り掛かった。ビアパイント代表取締役の藤原敬弘さん(35)の指導の下、UKUUのメンバーが麦芽などを容器に入れ、およそ3時間煮出した後にホップを投入した。
ビールは1カ月後に完成予定で、藤原さんは「かんきつ系の香りがするホップなので、飲みやすいビールになると思う」と話す。
UKUU代表の兵庫勝さん(42)は「地域の田んぼをどうするかという問題意識からとんとん拍子で動きが進んだ。みんなで味わうのが楽しみ。将来的には事業化も視野に入れていきたい」と笑顔で語った。