梅雨があけ、本格的に夏到来!今年も猛暑日が続く厳しい気候になりそうだが、その分ビールがおいしく感じられそうだ。近年はビールもさまざまな種類が販売されているが、ビール大国アメリカと日本のビール文化はどのように違うのだろうか。
世界のビール消費量は?
キリン株式会社が行った「2020年国別一人当たりのビール消費量」の調査では、1位はチェコ共和国、2位はオーストリア、3位はポーランドとヨーロッパ諸国の国が上位を占めており、アメリカは17位、日本は52位となっている。
筆者が住むアメリカも世界から見れば10位にも入っておらず、ビールの消費量はヨーロッパ諸国が強いことがわかるが、しかし、クラフトビールが日常的に飲まれているアメリカでは、日本とビール文化の違いをひしひしと感じる。
アメリカはビールの種類が半端ない!
一昔前の日本では、一般的に販売されているビールは「キリンラガー」、「サッポロ黒ラベル」、「アサヒスーパードライ」ほどしかなく、ビールを選ぶときは「どのブランドにするか」という選択肢しかなったが、近年は「発泡酒」や「新ジャンル」ができ、「糖質フリー」「プリン体0」など健康志向が強いモノも登場。消費者も価格や味でビールやビール系飲料を選択できるようになった。
しかし、日本のビールは「ラガースタイル」が主流で、アメリカのようにビールのスタイルでの選択肢が少ない。もちろん、ブルワリーに行けば、いろいろなスタイルのビールを醸造している場所はある。だが、アメリカではさまざまなスタイルのビールが販売され、スーパーマーケットでも、常時30種類以上、店舗によっては100種類ほどのビールが販売されている。
また、ブルワリーが多く点在するアメリカでは、スーパーでその地域のブルワリーが醸造するビールが販売されており、アメリカ国内を旅行するときでも、スーパーで地元のビールを手軽に購入できる。
とにかく、日本のように「ラガー」ばかりではなく、ガツンとパンチがある「IPA」、飲みやすい「エール」、コクがある「スタウト」、酸味がある「サワ―」など、さまざまなスタイルのビールが手軽に購入でき、味の違いでビールを選べることも、ビール人口を増やしている理由のひとつになっているだろう。
アメリカのビールはアルコール度数も全然違う
ビールのスタイルの違いのほかにも、アメリカではビールのアルコール度数も異なる。そもそも、日本のように「ビール、発泡酒、新ジャンル」のようにジャンルの違いがないアメリカでは、作り手のアイディアでさまざまなビールが生まれている。
アメリカのビールといえば「バドワイザー」を思い浮かべる人も多いだろうが、これはライトビールで「水のようにゴクゴク飲める」アルコール度数が低いビール。それに対して、トリプルIPAなどパンチの強いビールスタイルは10%以上のアルコール度数のモノもあり、アルコールが弱い人でも、逆にアルコールに強い人でも満足できるビールが存在する。
ブルワリーの数も半端ない!
日本もマイクロブルワリーは増えつつあるが、全国で600カ所以下。多くは東京や神奈川など大都市中心にあるが、アメリカでは田舎でもブルワリーがあり、「こんな辺鄙な場所にあるのか」と思う場所も多々。
そして、ビールがその場で飲めるだけではなく、グラウラーでタップで入れたフレッシュなビールを家に持ちかえることもできる。
筆者が住むエリアはブルワリー激戦区だが、それぞれのブルワリーにファンがついており、週5以上通う「常連客」も多く、「自分が応援、育てるブルワリー」としてビールを楽しんでいる人も多い。
選択肢の多さは、アメリカらしさ
ヨーロッパのように伝統を重んじないアメリカでは、ビール作りも自由度が高く、ハラペーニョやアボガドを使用した変わったテイストのビールも販売されている。
「ビール」=「苦い」イメージはもう一昔前。今ではフルーティーでジュースのように飲みやすいモノもあり、この多様性がビール人口を伸ばしているのだろう。