横浜を拠点とするクラフトブルワリー「横浜ベイブルーイング」が、スウェーデン・アルファ・ラバル社製の遠心分離機「Brew 80」を導入。ろ過工程を省きながら酸化と雑菌のリスクを抑え、熟成期間を従来の6週間から4週間へ――約33 %の短縮に成功しました。長年の悲願だった“常温で流通できる高品質な缶ビール”の実用化に大きく近づいた同社の挑戦に注目です。
横浜ベイブルーイングとは

2005年創業。チェコ伝統のボヘミアンピルスナーをベースに、現地修業で学んだ技とアメリカの最先端技術を融合させたビール造りで知られます。代表の鈴木真也氏は、日本最大級のクラフトビールイベント「ジャパンブルワーズカップ」の発起人でもあり、国内シーンの底上げに貢献してきました。
常温流通への壁を越える切り札「Brew 80」
同社が抱えていた最大の課題は、高品質を保ったまま缶ビールを常温で安定流通させること。酸化や細菌混入を極小化する高度なプロセス管理が必須でした。そこで2022年、国内ブルワリーの推薦と実績を決め手に遠心分離機「Brew 80」を導入。
Brew 80とは?
- ろ過不要:ビール中の酵母や固形物を高速分離。濾過機器を丸ごと置き換え。
- 酸化リスクを低減:密閉遠心分離により空気接触を最小化。
- 高い除菌性能:細菌数を大幅に抑制し、常温保管でも品質を維持。
導入の成果 ―「6週間→4週間」へ
遠心分離の採用で、発酵後の熟成期間は6 → 4週間に短縮(約33 %削減)しながら、酸素混入量も大幅に減少。ろ過工程が不要になったことで歩留まりが向上し、タンク回転率も高まっています。
「品質を確実に高めつつ工程も短縮できる。クラフトビール製造を変える機器です」
ー 横浜ベイブルーイング代表取締役 鈴木真也氏
世界を見据えた次の一手
同社はワールドビアカップへの継続出品を通じて世界的評価を狙うほか、アルファ・ラバル製ポンプなど周辺機器の導入も計画。醸造プロセス全体を最適化し、日本発クラフトビールの国際競争力向上を目指します。
ビールファンへのメッセージ
- 常温OKの缶ビール:輸送・保管コストを抑え全国へフレッシュ配送。
- 新作ラガーのリリースも視野:熟成短縮で開発サイクルが加速。
- 環境負荷低減:ろ過メディア廃棄が不要になりサステナブル。
まとめ
遠心分離機「Brew 80」の導入で、横浜ベイブルーイングは“品質 × スピード × サステナビリティ”を同時に実現。日本のクラフトビールが常温流通の制約を超え、世界へ羽ばたく日もそう遠くなさそうです。続報と缶ビールのリリースを楽しみに待ちましょう!