ハッサク生産量日本一の和歌山県紀の川市で、ハッサクを使ったクラフトビール「紀の川はっさくエール」が誕生し、24日、市内限定で発売される。特産のハッサクをPRする「紀の川はっさくプロジェクト」の一環で、大阪府泉佐野市の醸造所や紀の川市の酒販店などとタッグを組んだ。「ハッサクをまるごとかじっているようなフルーティーな味わい」(醸造担当者)といい、「酸味と苦味が程よくマッチしている」とPR。将来的には生産量を増やし、ふるさと納税の返礼品などにも活用したいとしている。
市によると、ハッサクはもともと広島県の因島で発見された果物。市内では昭和40年ごろから旧粉河町エリアを中心に水田の転換作物として栽培が盛んになった。栽培は県内全体の約55%を占める。
日照時間が長く、温暖な気候で栽培される市産のハッサクは、主に11月から翌年1月にかけて収穫し、出荷まで2か月程度、低温貯蔵庫で保管。ほどよくバランスのとれた酸味と甘み、苦みに仕上げている。
農林水産省の調査(平成30年)によると、和歌山県の栽培面積は939・4ヘクタール、出荷量は1万7984・6トンで、2位の広島県(234・6ヘクタール、2759・3トン)を大きく引き離している。
この特産品の認知度をさらに上げるため、市は昨年度、「紀の川はっさく」の名前でPRする「紀の川はっさくプロジェクト」を開始。その一環として今回、クラフトビールを開発した。
市では今年9月発売した市産のモモのクラフトビールでも連携した大阪府泉佐野市の醸造所「泉佐野ブルーイング」に、ハッサクのクラフトビールを提案。10月にハッサクを渡し、11月には紀の川市内の酒販店などに協力を依頼した。
「柑橘(かんきつ)系の果物はビールとの親和性が高く、ベースとなるビールの味決めは、これまでの経験を生かすことができた」と泉佐野ブルーイングの担当者。生のハッサクを切り、そのまま仕込みと発酵後の段階に分けて漬け込んだため、ハッサクのフルーティーさがダイレクトに伝わる味に仕上がったという。
1本660円(330ミリリットル入り)。市内の酒販店のほか、道の駅「青洲の里」やJA紀の里ファーマーズマーケット「めっけもん広場」などで販売する。売り上げの一部は市内の農業振興に充てられるという。
市の担当者は「フルーツが豊富な市だが、加工品は少なかった。市内の商工業活性化が目的なので、新しい名産品として生産量を増やしたい」とし、「市内の飲食店で味わえたり、ふるさと納税の返礼品にも使えたりするようになれば」と話している。
問い合わせは市商工労働課(0736・77・2511)。