樹氷思わすクラフトビール完成 山形市初のブルワリー、蔵王に3月誕生

大鳥居の脇にある「蔵王ブルワリー」。ロゴの「A」は大鳥居をイメージした
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山形市の山形蔵王の玄関口に立つ大鳥居の脇に3月上旬、地元の若手経営者が同市初のブルワリーを開設する。蔵王の湧き水を使い、冬の観光名所の樹氷をイメージした白色などのクラフトビールを醸造、販売する。スキー客らも多かったかつてのにぎわい復活に向け、新型コロナウイルス感染拡大の苦境に負けず「蔵王のために力になる」と立ち上がった。

大鳥居の脇にある「蔵王ブルワリー」。ロゴの「A」は大鳥居をイメージした

大鳥居の脇にある「蔵王ブルワリー」。ロゴの「A」は大鳥居をイメージした

目次

大鳥居のそばに

醸造所兼ビアレストラン「蔵王ブルワリー」は同市蔵王上野に整備中で、蔵王温泉につながる県道にある高さ約16メートルの大鳥居のそば。約170平方メートルにクラフトビールの醸造設備、26席の飲食スペースや調理場などを配置する。年間約7万本の醸造を見込む。

事業を主導した地元の食品卸「山里菜」の海谷康裕社長(39)は「観光客が訪れやすい場所を選んだ。仙台圏からも気軽に足を運んでほしい」と期待する。

クラフトビール4種類を扱う。一番の目玉で英語で樹氷を意味する商品「スノーモンスター」はすっきりした味わいが特長。食品で白く色付けし「クラフトビールでは国内にない」(海谷社長)希少性を高めた。

併設したビアレストランで醸造、販売するクラフトビールを手にする海谷社長(左)と坂本さん

併設したビアレストランで醸造、販売するクラフトビールを手にする海谷社長(左)と坂本さん

こんな時こそ

「山形サクランボエール」は県内産のサクランボ果汁を使ってフルーティーさを強調した。樹氷を形成するアオモリトドマツなどに着想を得た「マツノモリ」は豊潤な味わいのペールエール。「蔵王クラシックIPA」はアルコール度数7%と高く、玄人好みの味に仕立てた。

ビアレストランではクラフトビールに合わせたピザやローストビーフなどを提供する。宮城県のブランド牛「蔵王牛」や同県蔵王町産のチーズなど「蔵王」を強く意識した食材を使う。

海谷社長は山形蔵王の麓で生まれ育った。国内最大級の規模のスキー場がある蔵王温泉はレジャーの多様化によるスキー客の減少などが響き、観光客数は年間約250万から近年は半減。感染拡大で2020年度は約56万まで落ち込んだ。

「25年ほど前は自宅の近くまで渋滞が続くほどにぎわった」と懐かしむ。出身小学校の近くに立つ大鳥居も見慣れた風景だ。感染拡大で本業の食品卸の業務用や観光用の需要が減って厳しい中、「こんな時だからこそ新事業を始めたかった。思い入れの強い場所からにぎわいを取り戻したい」と決意を固めた。

仙台圏も意識

思いに共感した友人、親族の計3人が協力。中学時代の同級生の坂本陽介さん(38)は「一緒に蔵王を盛り上げたい」と未経験ながら醸造長を買って出た。栃木や新潟のブルワリーで研修を重ね、蔵王をイメージした理想の味を実現した。

ブルワリー近くに40アールの自社農場を所有し、将来はホップの自家栽培も目指す。「蔵王を発信するビールとして仙台圏などに広く周知したい」と海谷社長。坂本さんも「私たちの古里の味を楽しんでほしい」と願う。

ビールは各種1本600円で、化粧箱入り4本セットで2600円。ブルワリーや蔵王温泉で販売し、5月ごろに自社ECサイトの開設も予定する。連絡先は蔵王ブルワリー023(666)8151。

ブルワリーに設けた醸造施設を点検する海谷社長(左)と坂本さん

ブルワリーに設けた醸造施設を点検する海谷社長(左)と坂本さん

河北新報オンライン
樹氷思わすクラフトビール完成 山形市初のブルワリー、蔵王に3月誕生 | 河北新報オンライン  山形市の山形蔵王の玄関口に立つ大鳥居の脇に3月上旬、地元の若手経営者が同市初のブルワリーを開設する。蔵王の湧き水を使い、冬の観光名所の樹氷をイメージした白色な...

 

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