新型コロナで観光地が打撃を受ける中、山形県の蔵王をクラフトビールで盛り上げようと山形市で初めてのビール醸造所が来月、オープンする。クラフトビールは蔵王の樹氷をイメージしたものなど4種類の販売を予定している。
蔵王温泉に向かう道中の大鳥居の脇に建てられた山形市初の醸造所「蔵王ブルワリー」。来月の発売を前に、醸造所では着々とビールの熟成が進んでいる。
醸造長の坂本陽介さんは「こちらの発酵タンクで発酵させてクラフトビールを作る。タンクで2週間、樽で2週間熟成させるので約1か月掛かる」と説明する。
蔵王名物の樹氷をイメージした「SNOWMONSTER」や県産のサクランボ果汁を使用した「YAMAGATAさくらんぼALE」など蔵王をイメージした4種類のビールが作られる。
事業を始めた海谷康裕さんは蔵王生まれの蔵王育ちで、新型コロナで打撃を受ける地元を盛り上げようと、1年半ほど前から準備を始め、クラウドファンディングなどで資金を集めた。海谷さんは「幼少期は蔵王のスキー場も温泉街もすごい賑わっていたが、近年は観光客も減少して、そこにコロナが追い打ちをかける中で何とか蔵王を盛り上げたいと思っていた。クラフトビールの多様性を生かして私たちなりに蔵王を表現したいと始めた」と話す。
中学時代の同級生で醸造長の坂本陽介さんとともに栃木や新潟のブルワリーで研修を重ね、4種類のクラフトビールを完成させた。醸造所はレストランも兼ねていて、クラフトビールのほか、蔵王牛などを使った料理を提供する予定だ。
海谷さんは「蔵王に来るついででもいいし、醸造所ができたということで観光客や地元の人に気軽に足を運んでいただければ」と話した。クラフトビールは1本600円で、来月12日から蔵王ブルワリーで販売される。