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地元愛凝縮の城下町ビール 鳥取の「AKARI BREWING」

町おこしと一体となったクラフトビール造りに取り組む「AKARI BREWING」の鹿児嶋社長

鳥取駅から西へ車で30分ほどの場所にある鳥取市鹿野町は戦国時代の鹿野城主・亀井茲矩(これのり)によってつくられた城下町だ。そこでクラフトビールを醸造する「AKARI BREWING(アカリ・ブリューイング)」は地元産原材料にこだわり、地元愛あふれる個性的な味が評価され、県内外のファンを増やしつつある。

町おこしと一体となったクラフトビール造りに取り組む「AKARI BREWING」の鹿児嶋社長町おこしと一体となったクラフトビール造りに取り組む「AKARI BREWING」の鹿児嶋社長

2017年に地元出身の鹿児嶋敦社長が脱サラして立ち上げた。かつて食堂だった空き家を借りて、醸造所を設けた。鹿児嶋氏は地域の町おこしのメンバー「あかり本願衆」の中心的な存在でもあり、町おこしと一体となったクラフトビールづくりに取り組んでいる。

原材料で特にこだわっているのが酵母だ。「Party Buddy」「Memories of Youth」の2商品は鹿野城跡公園内の桜の花びらから採取されたラカンセア酵母を使用する。この酵母を使うことによって、酸味を加えることができる。通常、酸味のあるサワービールの多くは乳酸菌を使うことが多いとされるが、独自酵母を使うことで個性的な風味を生み出す。

この酵母を使うようになったのは鹿児嶋社長が鳥取大学大学院連合農学研究科の児玉基一朗教授に相談を持ちかけたのがきっかけだ。児玉教授は地域の植物から有用な酵母を探索し収集している。地元で採取した複数の素材を持ち込み、そのなかからクラフトビールに適した酵母を桜の花びらから取り出すことができたという。

酵母だけではない。代表的な商品「GINGER BROWN ALE」は地域で約400年の栽培の歴史がある「日光生姜(しょうが)」を使用した。県内産のブラックベリー、ユズ、カボスなどを使ったクラフトビールも造っている。

酵母など地元産の材料を使い、特徴ある香りや風味などが好評だ酵母など地元産の材料を使い、特徴ある香りや風味などが好評だ

各種ビールは鳥取駅前の直営ビアバー「Beer Bonds AKARI」で飲むことができる。SNS(交流サイト)などでの情報発信やイベントなどへの出品を通じて人気が広がり、県内だけでなく東阪の酒類卸会社やパブなどへの納入も増えた。現在の醸造設備では「受注の増加に対して供給が追いつかなくなってきた」(鹿児嶋社長)という。

そこで現在、生産拡大へ向け新しい醸造所を整備中だ。同じ鹿野町内でかつて幼稚園などとして使われた建物を市から借り受け、今年度中には改装が完成する予定だ。

新醸造所が完成すれば生産能力は3倍強に高まるという。これまでは自分たちの手で工夫した設備を使ってきたが、新醸造所ではスロベニア製のステンレスタンクなど設備一式を導入。手作業でかき混ぜていた作業も、コンピューター制御で自動でできるようになる。

「タンクなど気密性が増して、さらに味が良くなる」と醸造担当の清部直樹氏は説明する。これまで醸造で出てくる麦芽かすは処分していたが「畜産飼料にしたり、シリアルバーにしたりといった有効利用も考えている」(鹿児嶋社長)という。

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