ビールというと、最初の乾杯のイメージで、食中酒のイメージはないかもしれません。でも、個性的な味わいで最後まで食事とともに楽しめるのが、アメリカンクラフトビール(以下、USクラフトビール)。現在アメリカには8,000軒以上ものマイクロブリュワリーがあり、それぞれがこだわりを持ち、独自のビアスタイルを開発しています。
日本にも、全米各地から数多くのUSクラフトビールが入ってきています。選ぶのに迷ったらまずは、代表的なIPAを。IPAとは、インディアン・ペール・エールの略.。かつてイギリスから植民地だったインドにビールを船で運ぶ際、長旅でビールが腐らないようにホップを大量投入したことから生まれたビアスタイルです。時を経てアメリカで、柑橘系のアロマホップを使ってつくられるように。今やIPAは全米のクラフトビール売上げの約1/3を占めるほど人気となっています。近年は軽い味わいのアメリカンラガーやブロンドエール、ケルシュ、ライトサワーなども出てきて、USクラフトビールの世界はワールドワイドに広がっています。
多種多様のUSクラフトビールを、まるでアメリカにいるような気分で楽しむことができるのは、世田谷・用賀にあるレストラン、「グリル&ダイニング用賀倶楽部」(以下、「用賀倶楽部」)。ここはお屋敷街のど真ん中、かつてはテニスコートなどもあったそう。「用賀倶楽部」は、クラブハウスとして使われていた建物を使って誕生しました。ここは地元の人たちが家族とのイベントで利用したりと、知る人ぞ知る店。みんな看板メニューの、アメリカンながっつり系の肉料理を目当てにやってくるのだとか。そういった人たちのニーズを考慮し、USクラフトビールを扱うことに。
「用賀倶楽部」では、10月よりUSクラフトビールフェアーと銘打って、日本ではなかなか手に入らない、アメリカのローカルなクラフトビールとグリル料理のマリアージュを試みる。
今回は、そのフードメニューを、マッチするUSクラフトビールとともにご紹介。
アペタイザーは、スパイシーなワッフル状ポテトフライに、チェダーチーズとサウザンソースを乗せた「ワッフルポテトフライ」。最初にトライしたいのは、パイナップルジュースみたいな色の「マインドヘイズ」。生産者のFirestone Walkerはカリフォルニア州のパソロプレスで、ワイナリーの一部で誕生したブリュワリー。クリアでない色味はヘイジー(濁った)という種類のIPA。無濾過で作られるため、酵母の作用で濁りが生じます。ホップの苦味も抑えられていて、飲みやすいIPAと言えるでしょう。
ハニーケルシュは野生の花から取れたはちみつを使って作られた、ケルシュスタイルのエール。炭酸弱めで、喉ごしの良いビールです。
ケルシュは麦芽の上品な香りの中で、ほんのりとフルーティーな香りがある味わいが特徴。
クセ弱めなビールには、サクサクとそのまま食べられるソフトシェルシュリンプがマッチします。シアントロ(パクチー)の香りがテクス・メクス風。
Usリブアイ1ポンドステーキは、ガーリックソースの効いた用賀倶楽部の看板メニュー。ボリューミーなステーキと共に楽しむならば、オレゴン州、DESCHUTES社の「フレッシュスクイードIPA」通常以上のホップとアロマが香る典型的なアメリカンIPAは、しっかり消化を助けてくれそう。果汁は含まれていないのに、フルーティーな香りで肉料理との相性もピッタリ。
エントランスのフードトラックでは、専門のシェフが作るオムライスや、パン職人が作る和牛のカレーパンなども人気。USクラフトビールとのマリアージュも広がりそうで、これからがますます楽しみです。
取材協力