京都府木津川市山城町平尾で、地ビール(クラフトビール)の開発が行われている。日本酒の酒蔵経験のある板東智也さん(41)が、閉店したカラオケ喫茶やお好み焼き屋を改装し「ことことビール」を立ち上げた。5月1日からの販売で「まだまだ手探りの状態だけど、地ビールで地域を活性化できたらうれしい」と意気込む。
JR棚倉駅近くにあったカラオケ喫茶は、ステージもあり地元の人たちでにぎわいを見せたが、2020年に惜しまれつつ閉店した。テーブルやソファがそのまま残った店舗を借り、「ことことビール」の看板を掲げて1日にオープンした。
隣接のお好み焼き屋跡を醸造所に仕立て、約50平方メートルと手狭なスペースながら醸造タンク3基を導入した。従業員は板東さんと元同僚の杜氏(とうじ)の2人だけで、ビールの製造工程で必要な攪拌(かくはん)はへらを使って手作業で行う。「酒蔵の知識を詰め込んだ手作り地ビールとして、地域の人に愛されるのを目指す」と笑う。
木津川市に店舗を構えた理由は「水がおいしいのと農産物が豊かな所だから」。全国的にも、地元産ミカンやネギなど農産物を使った地ビールが各地域で販売されている。ブドウなど木津川市の特産品を使ったビールを造れるか今後、試行錯誤していく。定番のピルスナーから始め、スタウトやIPAなど種類を増やしたいという。
「ことこと」は、木津川市と隣接する奈良の「古都」を掛け合わせた。板東さんは「地域の人たちがワクワクするように取り組んでいきたい」と語った。